Copilot Studio は、Agent Builder では足りなくなったときに使う、本格的なエージェントの作成ツールです。
ところが料金を調べると、「Microsoft 365 Copilot のユーザーは追加費用なし」という説明と、「使った分だけ Copilot クレジットで課金」という説明が両方出てきます。どちらも正しく、どちらかだけを信じると見積もりを外します。

公式ドキュメントを読むと、分かれ目は「どのハーネスで作るか」と「誰がどこで使うか」の2つでした。この記事の内容は2026年10月31日時点のものです。Copilot Studio は仕様も料金もよく変わるので、契約前には必ず公式で確認してください。
1. Copilot Studio は Agent Builder の本格版
Microsoft 365 Copilot のアプリ内にある Agent Builder は、指示文とナレッジを登録しておく箱です。使い方はCopilot Chatのエージェントで、毎回のプロンプトとファイル添付をやめるにまとめました。
Copilot Studio はその先の道具で、copilotstudio.microsoft.com で使うローコードの開発ツールです。公式は「エージェントやワークフローを構築し、組織のデータやシステムに接続し、ユーザーがすでに活動しているチャネルに公開します」と説明しています。

| Agent Builder | Copilot Studio | |
|---|---|---|
| 作る場所 | Copilot アプリの中 | 専用の Web 画面 |
| できること | 指示とナレッジの登録 | 上記に加え、コネクタや MCP での外部システム連携、ワークフロー、自律的に動くエージェント |
| 公開先 | Copilot Chat・Teams など社内 | 社内に加え、Web サイトやモバイルアプリなど社外も |
Agent Builder で作ったエージェントは Copilot Studio にコピーできます。まず Agent Builder で小さく作り、足りなくなったら Copilot Studio に移す、という順番で進められます。
なお、一部の Microsoft 365 サブスクリプションには機能を絞った「Teams プランの Copilot Studio」が含まれています。公開先は Teams だけで、生成 AI による動きの調整(生成オーケストレーション)や Premium コネクタは使えません。「Microsoft 365 に Copilot Studio が付いている」と言われたら、まずこの限定版かどうかを確認するのが早いです。
2. 2026年10月時点では「ハーネス」を選んで作る
ここが一番変わった点です。Copilot Studio で作るものは、すべてハーネスという実行基盤の上で動きます。公式の説明では、ハーネスはモデルとエージェントの設定の間にあって、「モデルをいつ呼び出すか、どのコンポーネントを送信するか、返ってくるものを解釈し、適切なツールを呼び出す」ものです。
ハーネスは3種類あります。
| ハーネス | 向いている用途 | 動き方 |
|---|---|---|
| 標準 | 社内ヘルプデスク、人事の受付のような定型の会話 | 作成者が決めたトピックやルールに従う |
| GitHub Copilot | 請求書の照合や監査レポートのような、複数ステップの業務 | 目標に向けて自分で手順を組み立てる。Word・Excel・PowerPoint・PDF も作れる |
| 顧客対応(Customer Conversation) | Web チャットや電話での顧客対応 | 解決できなければ人間の担当者に引き継ぐ。パブリックプレビュー |
名前に引っかかりますが、GitHub Copilot ハーネスは GitHub Copilot のサービスではありません。 公式は、基盤の技術を共有しているだけで「顧客データはGitHub Copilotサービスに送信または処理されません」と明記しています。
公式は選び方についても釘を刺しています。単純な用途で GitHub Copilot ハーネスを使うと、結果が良くならないまま、遅延とクレジット消費だけが増えることがあります。また、正常に動いている標準ハーネスのエージェントを移す必要はない、とも書かれています。
課金の違いまで含めて1枚にすると、次のようになります。課金の詳細は5章で説明します。

3. 作る人に必要なライセンス
Copilot Studio でエージェントを作るには、次のいずれかが必要です。
- Copilot Studio ユーザーライセンス(0円)。管理者が作成者に割り当てる。テナントに Copilot クレジットのパックの契約が必要
- Power Platform 管理センターでの Copilot Studio 作成者の役割
- Microsoft 365 Copilot のライセンス
- 試用版。作ってテストまではできるが、公開はできない
ユーザーライセンスは0円ですが、エージェントを動かすと Copilot クレジットを消費します。 料金の本体はこちらです。
4. 課金の単位は Copilot クレジット
Copilot クレジットの買い方は3通りです。
| 買い方 | 価格 | 条件 |
|---|---|---|
| クレジットのパック | 月29,985円で25,000クレジット | 日本向けの公式ページより。使い残しは翌月に繰り越せない |
| 従量課金 | 1クレジット 0.01ドル | Azure サブスクリプションで月末に後払い。日本円の記載なし |
| 1年分の前払い(P3) | 量に応じて最大20%割引 | Azure ポータルで購入 |
パックの価格から計算すると、1クレジットは約1.2円です。パックはライセンスガイドでは「200ドル・年払い」と書かれています。日本向けページには税の扱いの記載がありませんでした。
標準ハーネスでは、エージェントの動作ごとに消費量が決まっています。
| 動作 | 消費するクレジット |
|---|---|
| 作成者が用意した決まった回答(従来型の回答) | 1 |
| 生成 AI による回答 | 2 |
| エージェントのアクション(ツールの実行など) | 5 |
| テナントグラフのグラウンディング(社内の Microsoft 365 データを検索して根拠にする) | 10 |
| エージェントフロー | 100アクションあたり13 |
1回の質問で複数かかります。 公式の例では、社内データを検索して答えるエージェントは「テナント グラフの接地には 10 Copilot クレジット、生成応答には 2 Copilot クレジット」で、1回あたり12クレジットです。推論モデルを使う場合は、これに1,000トークンあたり10クレジットが上乗せされます。
5. Copilot ライセンスで無料になる範囲
この記事の核心です。Power Platform 管理センターのドキュメントに、Microsoft 365 Copilot のライセンスが使用量をカバーするかどうかの一覧がありました。
| 使い方 | ライセンスの範囲内か |
|---|---|
| 標準ハーネスのエージェントを、Copilot Chat・Teams・SharePoint で使う | 無料 |
| 同じエージェントを、ライセンスのない人が使う | 課金 |
| 同じエージェントを、Web サイトなど Microsoft 365 の外で使う | 課金 |
| エージェントフローを、ライセンスのある人との会話中に「エージェントがフローを呼び出すとき」のトリガーで呼ぶ | 無料 |
| エージェントフローを、それ以外のトリガーや自律実行で動かす | 課金 |
| コンピューター操作(画面を操作させる機能) | 常に課金 |
| GitHub Copilot ハーネスのエージェント | 常に課金(作成・テスト・評価も) |
つまり、「Copilot のライセンスがあるから無料」が成り立つのは、標準ハーネスのエージェントを、ライセンスのある人が Microsoft 365 の中で使う場合だけです。
特に GitHub Copilot ハーネスは注意が必要です。公式は「この使用状況は、ユーザーのMicrosoft 365 Copilot ライセンスには含まれません」と書いています。しかも作り始めた時点からクレジットを消費します。開発者環境と試用版環境も、2026年9月1日に使用量に応じた課金へ移行済みです。
なお、無料の範囲にも「フェアユースの制限」があると明記されています。いくら使っても無料、という扱いではありません。
6. 見積もりの例:決め手はテナントグラフ
具体的に計算してみます。社内規程に答える標準ハーネスのエージェントを作り、Microsoft 365 Copilot のライセンスを持たない100人が月に10回ずつ質問する想定です。月1,000回になります。

| 設定 | 1回あたり | 月1,000回 | 円換算(1クレジット約1.2円) |
|---|---|---|---|
| テナントグラフあり | 12クレジット | 12,000クレジット | 約14,400円分 |
| テナントグラフなし | 2クレジット | 2,000クレジット | 約2,400円分 |
同じエージェントでも、テナントグラフのオン・オフで消費が6倍違います。 テナントグラフはエージェントごとに切り替えられる設定です。社内データを横断して検索するので回答の質は上がりますが、ライセンスのない人に配るエージェントではコストの大半をここが占めます。
一方、同じエージェントをライセンスを持つ人が Teams で使う分は0です。公式の例でも、ライセンスを持つ50人とライセンスのない100人が使うエージェントは、100人分だけで計算されていました。
正確な見積もりには、Microsoft が公開している Copilot クレジットの見積もりツールが使えます。
7. 使いすぎを防ぐ設定
クレジットの管理は Power Platform 管理センターの[ライセンス]→[Copilot Studio]で行います。公式が挙げている主な手段は次のとおりです。
- 環境ごとにクレジットを割り当て、「自分のテナント内の使用可能な容量から引き出す」をオフにする。 割り当てを使い切っても、ほかの環境の分を食わなくなる
- エージェントごとに月間の上限を設定し、「使用の停止」をオンにする。 1つのエージェントが使いすぎるのを止められる
- 従量課金には Azure の予算とアラートを設定する。 ただし予算とアラートは通知するだけで、消費は止めない。止めたいならエージェントの上限と組み合わせる
前払いの容量を125%まで使うと、標準ハーネスのカスタムエージェントは無効になります。業務で使っているエージェントが急に「使用制限に達しました」と返すことになるので、上限と通知は先に決めておくのが安全です。
作れる人の制限には、Copilot Studio 作成者のグループ設定を使います。ただし公式によれば、グループを設定しても、グループ外のユーザーがすでに持っているアクセスは自動では消えません。 既存のアクセスは個別に確認が必要です。
8. まとめ
- Copilot Studio は Agent Builder の本格版。 外部システム連携、ワークフロー、社外への公開ができる
- 2026年10月時点では「ハーネス」を選んで作る。 標準/GitHub Copilot/顧客対応(プレビュー)の3種類
- 作る人のライセンスは0円でも、動かすと Copilot クレジットを消費する
- パックは月29,985円で25,000クレジット。1クレジット約1.2円。 使い残しは繰り越せない
- Copilot ライセンスで無料になるのは、標準ハーネスを Microsoft 365 の中で使う場合だけ
- GitHub Copilot ハーネスとコンピューター操作は、ライセンスがあっても常に課金
- ライセンスのない人に配るなら、テナントグラフの有無で費用が6倍変わる
- Azure の予算アラートは止めない。 止めるならエージェントごとの上限を使う
Copilot Studio の見積もりは、「どのハーネスで作るか」「誰が、Microsoft 365 の中で使うか」の2点を先に決めると迷わなくなります。Microsoft 365 Copilot のプランの違いはCopilotの「有償版」は3段あるで整理しています。
参照
- Overview – Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn(2026年10月27日更新)
- Copilot Studioのハーネス – Microsoft Learn(2026年10月19日更新)
- Copilot Studio のエージェント ハーネスを比較する – Microsoft Learn
- Copilot Studio にアクセスする – Microsoft Learn(2026年10月27日更新)
- 標準ハーネスライセンス – Microsoft Learn
- 請求レートと管理 – Microsoft Learn
- Agent Builder のエージェントを Copilot Studio にコピーする – Microsoft Learn
- GitHub Copilotハーネスを使用してエージェントのコストを管理する – Microsoft Learn(2026年10月28日更新)
- Microsoft Copilot Studio(日本向けの価格)
- Microsoft Copilot Studio ライセンスガイド(英語・2026年11月版)

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